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近年、テレビの報道番組などで取り上げられている中国人観光客の話題。東京の秋葉原で電化製品を大量購入する光景がお馴染みです。この「中国人」とは、観光ビザの緩和で内地を訪れる『中国本土』からの旅行者。沖縄への航空便数はまだ少ないため、来沖する中国人はわずかです。ちなみに中国本土では、従来の中国語を簡略化した【簡体字】と呼ばれる文字で読み書きが行われています。

一方で、沖縄を訪れる外国人の圧倒的多数を占めるのは『台湾&香港』からの観光客。中国本土の中国人に対し「台湾人・香港人」と呼ばれ、こちらは昔ながらの【繁体字】(トラディショナルチャイニーズ)で読み書きをします。簡体字と繁体字は、同じ中国語でも見た目や表現方法が異なるため、どちらで翻訳を行うか明確な区別が必要です。

※2011年夏以降、数次ビザの発給により中国本土から沖縄を訪れる観光客(中国人旅行者)も増加傾向にありますが、その大多数はバスツアー等に参加する団体旅行客となっています。ガイドブック等を使って自由に県内をまわる旅行者はまだほとんどいないため、団体ツアーの受け入れを行っていない施設や一般の飲食店・ショップなどでの簡体字対応は時期尚早といえそうです。

伸び悩む内地からの日本人観光客とは対照的に、年々急増する外国人観光客。なかでも自国の運転免許が沖縄でも使える「台湾」からの観光客と、大手旅行代理店が沖縄ツアーに力を入れている「香港」からの観光客は堅実な伸びを見せています。

3年前の3.11東日本大震災の影響で日本人観光客は著しく減少し、昨年ようやく震災前の人数を取り戻しました。他方、外国人観光客の数は震災の年も例年どおり。その後2年で一気に数を伸ばし、約2倍(97%増)になりました。

好調の理由はもちろん中華圏からの観光客。一昨年9月以降、尖閣問題で中国本土からの旅行客は減少しているものの、メインとなる台湾・香港からの旅行客は倍増。那覇空港国際線新ターミナルや若狭バース旅客船ターミナルビルの供用開始など今年も好条件がそろい、台湾・香港からの観光客は個人旅行(FIT)を中心にますます増えることが予想されます。

「中華圏からの観光客が増えているのは知ってるけど、ほとんどが団体旅行でしょう。決まった施設やお店にしか寄らないから、うちは関係ないしね…」と勘違いをされている方もまだ多いようです。しかし実際は、台湾人&香港人観光客の過半数が個人旅行で、その80%以上が再び日本を訪れます。まずは台湾人&香港人を対象に繁体字の環境を整え、来店時には充分なおもてなしを行うことが大切です。

そして可能なら、台湾人&香港人観光客をターゲットとする繁体字媒体を選び、積極的に情報を発信すること。これが確かな集客とリピートにつながります。